3DS-LLキャプチャボード(LL-SPA3)

この手順は「LL-SPA3」を3DS-LLに取り付ける手順です。

半田付けの難易度はそれほど高くはありませんが、ゲーム機の分解、ケースの加工などそれなりに難しいです。
電子工作が初めての方は、経験者にアドバイスを受けながら作業してください。

取り付けサービス、レスキュー(修復)サービスなども受け付けていますのでご利用ください。
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<注意事項>

<更新履歴>

<製品に含まれるもの>

<絶対に必要な道具>


<USBコネクタ一体と別体の違いについて>

USBコネクタ一体タイプはLL本体のIR(赤外線)モジュールの位置にUSBコネクタが配置されます。
メリットはUSBコネクタ取り付けのための筐体の加工が不要で、USBケーブルをLLの背面から引き出すことができるので、ゲームの操作性を損なわない点です。
デメリットはIRモジュールを取り外してしまうため、IRを使用する拡張スライドパットなどの周辺機器を接続することが出来なくなる点です。

USBコネクタ別体タイプはUSBコネクタをLL本体前面に取り付けます。
IRモジュールを取り外す必要が無いため、拡張スライドパットなどの周辺機器を使用することが出来ます。
デメリットはUSBコネクタを取り付けるために、筐体の加工が必要になります。またUSBケーブルが前面に来るため、ゲームの操作性も若干犠牲になります。

USBコネクタ別体タイプは一体タイプの基板からUSBコネクタ部分を切り離し、ワイヤで結線しています。LL-SPA3基板自体は0.4mm厚のため、ハサミで切り離すことも不可能ではないのですが、切り離す際に基板が歪むため、チップ部品が壊れたり、配線が断線したりする可能性が高いです。このため製品として予め2つのタイプを設けています。


<LLのメイン基板を取り出す>

LLのメイン基板を取り出します。プラスの精密ドライバーで分解できます。
ゴム足の裏に隠れているネジもあります。


スライドパット、液晶などはフレキシブルケーブル(フレキ)でメイン基板と接続されています。
フレキコネクタのはずし方は、コネクタの爪を立ててから、フレキを抜きます。

このタイプは

このようになります。
爪を立てるときは、あまり力をかけすぎないように要注意です。
このタイプはピンセットの先端で軽く跳ね上げるように爪を立てます。


このタイプは、指の爪の先をつかって、コネクタの爪を立てます。

見づらいですが、白い爪の部分が立っています。


フレキコネクタは8箇所あります。写真左上のアンテナ線と接続されているWIFIモジュールもはずします。
USB一体型の場合は赤外線(IR)モジュールもはずします。


<スライドパットの加工>

LLに使用されているスライドパットは2種類あります。

左側が古いLLや3DSに使用されているもので、右側が新しいLL、3DS、拡張スライドパットに使用されているものです。
新しいスライドパット(ショートスラパ)はフレキが短くなっていて、ハトメが4個付いているのが特徴です。
写真左側の古いスライドパットの場合は下記の加工は不要です

古いスライドパットのほうがはるかに楽に改造が可能ですので、もし手元にノーマル3DSやノーマル3DS用の拡張スライドパットをお持ちでしたら、LLから取り外したショートスラパと交換するのが賢い選択です。(オプティマイズの通販でも古いスライドパット(\600)が購入可能です。)

ショートスラパはフレキが短いだけではなく、写真の印をつけた部分が古いスラパに比べて高くなっています。
このため、無理やり取り付けるとスライドパットの操作性が損なわれる恐れがあります。

そこで、写真の白いプラスチックの部分を切除します。

カッターナイフを使用して、三角の部分(写真丸印)をまず切除します。
加工の際は、絶対フレキやフレキが取り付けられているハトメの付いた基板に力を加えてはいけません
非常にもろい作りなので、断線して使用できなくなります。

そして白いプラスチック板の付け根の部分をカッターナイフで5−6回切り込みを入れます。
(このとき完全に切り込んでしまうと、白いプラスチックの下側の基板を痛めてしまうので、注意します。)

そして、フレキとスラパの基板には触れないように、写真の矢印の部分を下側に折ります。


写真のように切り離せれば完成です。

テスターをお持ちであれば、一番上の端子と残りの3つの端子の間の抵抗を測ってみてください。
それぞれ数十キロオームであれば成功です。
(ハトメに信号が来ていない個体があるため、その場合は抵抗はフレキ先端の金メッキされた部分で計測します)

フレキの先端を写真のように軽く折り目を入れておきます。
折り目を入れる位置は、フレキ先端に貼ってある補強板とフレキの繋ぎ目になります。
間違っても補強板自体を折り曲げてはいけません。(補強板を折り曲げると断線します)


2013/4/13以降の出荷分にはアセテート絶縁テープが付属しています。

この絶縁テープを端子の金属部分に貼ります。



<LL−SPA3フレキの半田付け>

フレキの半田付けを行いますが、LL-SPA3基板は、フレキを半田付けした面から折り返して取り付けられます。
このため、フレキを半田付けする際にはLL-SPA3基板は写真のように、LL基板の下側に位置している必要があります。
このような状態で半田付けを行わないと、後からは戻ることが出来ませんの注意してください。


フレキの取り付け位置は写真のように、TPの金色のパッドがフレキの穴からきれいに見える状態にします。
ずれないようにセロテープでフレキとLLの基板を固定します。


フレキの細く曲がっている部分もキチンとTPのパッドに合うようにして、セロテープで固定します。


そして付属の0.3mmの極細糸半田を使用してTPとフレキを半田付けします。
半田の量は少なめで十分です。
コツは小手先をTPの金色の部分に一秒くらい当ててから、糸半田を供給します。

フレキがLLの基板から浮き上がっていると、余分な半田が回りこみ、半田不良となります。
ですので、フレキを押さえつけながら隙間を作らないように半田付けします。

半田付けした箇所は小さく丸く盛り上がった状態がベストです。
もし尖った部分が出来ていたら、小手先を当てて丸くしておきます。
尖ったまま放置すると、液晶パネルのシャーシと接触して画面の色が乱れる原因になります。



<基板の絶縁>

出荷時にLL-SPA3基板は、スライドパットの端子が接触する可能性のある部分と、USB別体のUSB配線部分にカプトン(ポリイミド)テープにて絶縁処理を行っています。
黄色いテープです、剥がさないでください。
(2013/4/13以降の出荷分からはカプトンテープは貼られていません。スライドパットの端子にアセテート絶縁テープを貼る方式に変更になりました。)


LL-SPA3基板の裏面とLLメイン基板は、写真の丸印の背の高い部品が基板を支えることにより、
部品同士が接触してショートしないようになっています。


しかし、LLメイン基板のロットや、使用部品の変更などにより、接触する可能性もあります。
実際にLL-SPA3基板をはめ込んでみて、接触しそうな部分がある場合は絶縁テープなどで対策をしてください。

右がアセテート絶縁テープ(千石電商で\700程度)、左がカプトンテープ(\2000前後)などを使用します。
(無ければお勧めできませんが、ビニールテープやセロテープなど)


USB別体タイプでUSBケーブルを動かすと、USBポートのサージや、切断エラーになる場合は、
USBコネクタ全体をアセテート絶縁テープで絶縁して、SDカードコネクタのフレームなどに
接触しないようにします。


<スライドパット(スラパ)の取り付け>

スラパのフレキを取り付けるコネクタはLL-SPA3基板の下側に位置します。
新しいスラパはフレキが短くなってしまったため、取り付けの難易度が上がっていますので、LLメイン基板を筐体に組み込む前にスラパを取り付けます。
古いタイプのフレキが長いスラパの場合は、LLメイン基板を筐体に組み込んでから、スラパを取り付けても構いません。

まず、スラパのフレキをLL-SPAのフレキの穴から通して、LL-SPA3基板の裏面に出します。
(先にIRモジュールは取り外しておきます。)
LL-SPA3基板の裏面に出るスラパのフレキを長い状態で保持するために、写真のようにセロテープでスラパごと仮止めします。


この状態ではスラパがブラブラするので、反対側もセロテープで仮止めします。


LL-SPA3基板の下側にある、フレキコネクタの爪を上げます。


写真のようなマチ針の先端を折り曲げた冶具を作ると作業が楽です。
横から針の先端をコネクタの爪の下に差込、針の軸を回転させて爪を立てます。


ピンセットを使って、LL-SPA3基板を写真の角度ぐらいに保持して、コネクタにフレキを軽く挿入します。
強く力をかけすぎると、フレキ先端の補強板が折れ曲がり断線しますので要注意です。
フレキの先端が挿入できたら、コネクタの爪をピンセットの先で閉じます。
この時、軽くピンセットでフレキを引っ張って抜けなければOKです。


これ以降、LL-SPA3基板はLL基板に重ねた状態で扱います。
LL-SPA3基板をLL基板から強く引っ張ると、取り付けたスラパのフレキに力がかかり断線の原因になります。
スラパを取り外す際は、マチ針の冶具を使って、フレキコネクタの爪を立て、フレキを抜きます。


<電源の配線>

LL基板をケースに戻す前に電源を配線します。
配線ポイントは写真のチップコンデンサの足になります。
まず、極細半田をチップ抵抗の足に盛ります。そして、ピンセットで配線材をコンデンサの足に近づけて、こてを当てます。
赤が+1.8V、白がGNDになりますので、間違わないようにしてください。


<LLケースの加工(共通)>

LLケースの加工は、USBコネクタ一体と別体で異なります。
まずは両方で共通の加工を行います。

LL-SPA3フレキの逃げを作るために、スライドパットの壁をカッターナイフで削ります。
左が削る前で、右が削った後です。液晶パネルの高さまで削ってください。


LL-SPA3基板と当たる、Lボタン近くの筐体の押さえ突起を除去します。
左が除去する前で、右が除去した後です。ニッパを使えば突起ごとカット出来ます。

LL-SPA3基板の下端が裏ブタのバッテリーガイドの部分に当たることがありますので、予めカットしておきます。
(補強のため2重になっている部分をカッターで斜めに切り落とし、スムースにLL-SPA3基板が嵌るようにします)


<LLケースの加工(USBコネクタ一体タイプ)>

Lボタンの押さえ部品(グレーのプラスチック製)を取り外します。
ネジ3本で固定されており、外す際にLボタンのスプリングを飛ばして紛失しないように注意します。
USBコネクタの位置の部分を除去します。
ニッパやカッターナイフなどで切り離すことが出来ます。

切り離しがすんだら、押さえ部品は戻しておきます。

このままでは、LLの電池カバーを固定するナットが固定されないので、セロテープなどで固定しておきます。

続いて、IR(赤外線)が透過する黒いアクリル部品を取り外します。
下側を手前に持ち上げるような感じで外すことが出来ます。


一体型のケース加工はここまでです。


<LLケースの加工(USBコネクタ別体タイプ)>

Lボタンの押さえ部品(グレーのプラスチック製)を取り外します。
ネジ3本で固定されており、外す際にLボタンのスプリングを飛ばして紛失しないように注意します。
LL-SPA3基板の一部が干渉しますので、その部分を除去します。。
写真の上部が除去前で、下部が除去後です。カッターナイフなどで切り離すことが出来ます。

カットしたら、押さえ部品は戻しておきます。

USBコネクタを配置する場所のケース加工です。

若干削ってます。


こちらは裏ブタのSDカード付近です。


電池カバーの一部もコネクタと当たるので削ります。


右側のストラップホルダーもUSBコネクタ基板と干渉するので一部削ります。


<筐体への組み込み>

LLメイン基板を筐体に組み戻します。

(注意)LL-SPA3基板は0.4mmと薄く、基板上の配線パターンも細いため、組み込む際に強い力を加えないように注意します。
フレキの取り付け方や、基板サイズのバラつきによっては、筐体の一部を追加で削ったり、IRモジュールの下部を削る必要があります。
LLの筐体を閉じる場合には、上部(L−Rボタンのある側)からはめ込んでいくとLL-SPA3基板に力をかけずに済むと思います。


ストラップホルダーの部品は後から取り付ける必要があるので、筐体から外してから、基板を入れます。


最初にLLメイン基板の裏面にある、上部液晶パネル用のフレキを忘れずに取り付けます。


フレキの取り付けはピンセットを使って、コネクタの爪を立てた上体で、フレキがコネクタに対して平行になるように、奥まで挿入して、爪を閉じます。


LL-SPA3基板の下側に、タッチパネルのフレキコネクタがあります。
LL-SPA3基板を持ち上げると、スライドパットのフレキに力がかかりますので、注意が必要です。
LL-SPA3基板を斜め持ち上げた状態で、タッチパネルのフレキを取り付けます。


スライドパットの仮止めセロテープを外して、LL-SPA3基板をゲームカートリッジコネクタ横の穴にはめ込みます。


LL本体の無線OFFのスライドスイッチが正しく、かみ合っているか確認しておきます。(後から直すのは大変)


スライドパットの穴と、ワッシャシートを正しくセットして、スライドパトをしっかりネジ止めします。
スラパがスムースに操作できるか確認しておきます。

USBコネクタ別体タイプ場合は、IRモジュールを取り付けます。
(IRモジュールがLL-SPA3基板と干渉する場合は、IRモジュール基板の下側をカッターで削ります。)


USBコネクタを配置して、配線材の取り回しを行います。
配線材が浮き上がって、筐体と噛むとショートなどのトラブルの原因となるので、セロテープなどで固定しておきます。


全てのフレキを取り付けたら、LLメイン基板をネジ止めします。

筐体のカバーを閉じる前に、動作確認を行うためには、電池を端子に押し付けた状態で、手で押さえながらLLを起動します。


<USBコネクタ一体タイプの基板固定>

USBコネクタ一体タイプはUSBケーブルの扱い方によっては、USBコネクタに力がかかり、LL-SPA3基板が歪み、FPGAやFX2の半田不良の原因となります。
このような問題を防ぐために、USBコネクタの裏側の空間にホットボンド(グルーガン)を充填して固定します。


ホットボンドで固定するタイミングは、必ず一度本体を組み上げて、問題なくLLの外カバーがしまることと、正常にビューアソフトが使用できることを確認してから行います。
(先に固定してしまうと、組みなおす際にホットボンドを剥がす手間が発生します)

LL-SPA3基板を少し持ち上げた上体で、USBコネクタとLLメイン基板の隙間にホットボンドを流し込みます。
暖かい間に素早くLL-SPA3基板を正しい位置に戻し、冷まして固定します。


更にUSBコネクタのケーブル挿入側からも、USBコネクタとLLメイン基板の隙間にホットボンドを流し込み、暖かいうちにピンセットなどで押し込むと効果的です。


<ビューアソフトの起動確認>

ビューアソフトとFPGAのロジックの開発はNON-STANDARDが開発しています。
NON-STANDARDのホームページから最新のビューアソフトウエア(デバイスドライバを含む)をダウンロードしてください。

使用しているWindowsのバージョン(32bit/64bit)に合ったデバイスドライバをインストールの後に、ビューアを起動します。
最初にビューアを起動するとプロダクトキーの入力を求められるので、製品に添付のプロダクトキーを入力します。


<トラブル事例と対策>

症状 原因と対策
ゲーム機の電源スイッチを入れても、起動しない WiFiモジュールの接続ミス、
配線した電源がショートしているなどが考えられます。
ゲーム機の画面、ビューアの画面の両方がノイズや
色調がおかしい。
LL-SPA3フレキの半田箇所に尖っている部分があり、それが液晶パネルのシャーシとショートしていることが考えられます。
ゲーム機の画面は正常だが、ビューア画面の色調がおかしい。 LL-SPA3フレキの半田不良の可能性があります。
USB機器として認識されない
(デバイスドライバのインストール要求も無い)
USBコネクタ別体タイプの場合、USBコネクタの配線がLL本体のゲームカートリッジコネクタや筐体のシャーシと噛んでいる可能性があります。再度配線の取り回しを確認してください。