フレキシブルケーブル取り付け手順
この手順は完成品「カメレオンUSB SPA3」(以下カメSPA)を使用してフレキシブルケーブル(以下フレキ)を取り付ける手順です。
フレキの中央に穴の開いていないタイプの手順はこちらにあります。
キット「カメレオンUSB SPA3」の場合はオプティマイズのHPを参照して、カメSPAの組み立てを済ませてください。
キット「カメレオンUSB SPA3」の基板下部(fライン)はカットされていませんので、専用バッテリーカバーを使用する方はカットしてお使いください。
半田付けの難易度はそれほど高くはありませんが、ゲーム機の分解、ケースの加工などそれなりに難しいです。
電子工作が初めての方は、経験者にアドバイスを受けながら作業してください。
<注意事項>
<フレキセットに含まれるもの>
<必要な道具>
<フレキのカット>
キットに付属するフレキはそのままでは使用できません。白い線に沿って、ハサミで丁寧に切ります。フレキは切り込みなどがあると、その部分から破断しますので、なるべく滑らかになるように切ります。白い線を多少はみ出しても、信号線の部分が切れなければ大丈夫です。
(フレキに印字されている文字(シルク)は、上下反転している場合もありますが、不良ではありません。)
(白い線が多少ずれていて、信号パターンにかぶっている場合があります。信号を切らないように注意してください。)
サウンド用配線部分は、折り曲げて使用するので、写真のように切込みを入れます。
<配線材の準備>
付属のUEW線を7cm、4cm、2cmにカットします。
UEW線は銅線の表面に絶縁用の皮膜を形成した線で、細く取り回しが楽なのが特徴です。
皮膜は300度程度の温度で溶け、半田付け可能になります。
3本の線の両端を、写真の様に、こて先に盛った半田で溶かします。溶けると、線に半田が乗ります。
(温度調節機能付の半田ごてを使用の場合は、温度を400度以上に設定します)
UEW線の先端に半田が乗っています。
この作業を確実に行っておかないと、接触不良などのトラブルになります。
<ゲーム機の分解>
フレキを取り付けるにはゲーム機を分解して、メイン基板を取り出す必要があります。最近のゲーム機は部品も細かく、フレキやフレキコネクタなど、扱いを誤ると破損してしまうことも多々あります。分解方法はネットを検索するなどして、十分な情報を得てから開始してください。
Over-Clockerd Mods様のサイトには非常に丁寧に紹介されていますので、参考になると思います。
スライドパット、液晶などはフレキシブルケーブル(フレキ)でメイン基板と接続されています。
(マイクはマイクを覆っているゴムごとを筐体から外すことで、フレキを付けたまま作業が可能です。
頻繁にフレキを付け外しするとトラブルの原因になります。)
フレキコネクタのはずし方は、コネクタの爪を立ててから、フレキを抜きます。
このタイプは
このようになります。
爪を立てるときは、あまり力をかけすぎないように要注意です。
このタイプはピンセットの先端で軽く跳ね上げるように爪を立てます。
フレキを外した後は爪は軽く寝かせた状態にしておきます。爪を立てた状態で以降の作業を行うと、誤って爪を破損してしまう可能性があります。)
このタイプは、指の爪の先をつかって、コネクタの爪を立てます。
見づらいですが、白い爪の部分が立っています。
下画面液晶の爪を閉じる際は、必ず爪の両端を指で抑えながら閉じます。
(片側だけに力を掛けて戻すと、爪の部分がコネクタから外れる危険があります。)
SDカードスロットを外す方法は、シールドとSDカードスロットの間に大き目のマイナスドライバをいれて、SDカードスロットを固定している粘着テープを剥がす方法が良いかもしれません。(SDコネクタ下側(画面下側)には3DS下画面のフレキとコネクタがあるので傷つけないように注意)
<筐体の穴あけ>
ゲーム機の筐体内部にカメSPAを格納出来るスペースはありません。
そのため、筐体に穴を開け、フレキ類を筐体外部に引き出します。
今回紹介する方法は、カメSPA本体を筐体に通すことが出来るので、後から半田不良の修正や、ゲーム機の部品取り付け漏れを直すことも可能です。
フレキだけが通る、小さい穴で済ませる方法もあります。この場合は、一度組むと、本体を分解するには、カメSPA基板から半田付けしたフレキをはがす必要があります。(工業用ドライヤーを使用すれば可能です)
ユーザ各自でどちらが良いか十分検討して、独自の方法を編み出してください。
USBコネクタ込みでカメSPAが通る厚み(約7mm)にします。
幅はカメSPAの幅(27mm)以上が必要です。
穴を開ける部分にある、プラスチックの突起は邪魔なので、ニッパなどでカットしておきます。
ドリル以外の方法で穴を開ける場合は、スタイラスペンのカバー(黒いプラスチック部分)を外して、別々に加工した方が良いかもしれません。
Lボタンのフレキは加工の際に邪魔になるので、写真のようにセロテープで固定しておきます。
(特にドリルを使用する場合は、ドリルの歯に絡まって、切れる恐れがあります)
卓上ドリルを使用して、7mmの穴を開けてつなげます。
最後はカッターで整えれば完了です。
写真のように、カメSPAが通ることを確認しておきます。
<ゲーム基板にフレキを取り付ける>
フレキを基板にTPの位置に合わせます。作業中にずれると困るので、写真の丸の位置をセロテープで止めます。
セロテープをはがすときは、必ずフレキ側からはがします。基板側からはがすと、フレキを破る危険性があります。
半田付けは、フレキの端のTPから開始しして、反対の端に向かって進めていきます。
(フレキのたわみを少なくするため)
半田の量は可能な限り少量にして、多少盛り上がる程度でなるべく平らになるようにします。
(盛り上げすぎると、下画面液晶パネルのシャーシ部分とショートして、液晶画面の色調がおかしくなります。)
コツは半田をTPの金色の部分に当て、半田ごての先端を金色の部分に一秒くらい当てます。
(金色の部分に半田が流れ込まないと、半田不良になります)
フレキが浮き上がらないよう、メイン基板に押し付けながら半田付けします。
(浮き上がって、半田がフレキの下側に回りこむと、他のTPとのブリッジ(ショート)の原因になります。)
半田もれの無いように注意してください。
サウンド部分は、写真のようにフレキを折り曲げて、半田ポイントに合わせて、セロテープで固定します。
全て半田付けが終わったら、指で半田付けした箇所をなぞって、尖っている箇所などが無いことを確認します。
もし半田が尖っている箇所にはフラックスを塗って、こてを当て丸くなるようにします。
(尖った箇所が液晶パネルの保護膜を破って、シャーシとショートする場合があります)
続いて、GND、1.8Vの配線を行います。
フレキ中央のパッドに少量の半田を盛ります。
TP5(1.8V)に少量の半田を盛ります。
コンデンサの足(GND)にも半田を盛ります。
そして、7cmと4cm(判り易くするため、写真上は赤の線を使用しています)のUEW線を半田付けします。
1.8Vの配線が下画面液晶パネルのシャーシ部分とショートすると、3DSが起動しません。
UEW線と盛った半田が極力平らになるように注意してください。
<TPポイントの半田不良検査>
半田不良、ブリッジ、漏れがないことを確認するためにテスターをお持ちの場合は検査します。
テスターを抵抗値を測るモードにして、右側の丸(GND)と、左側の各信号の間の抵抗値を測定します。
テスターや基板の個体差などによって、10−20%程度前後しますが、写真のような値になればOKです。
(差動信号が0.6MΩ、それ以外が5MΩ。大きく二つのグループに分かれます。8aがGNDで2aが1.8Vです。)
∞は未接続の端子ですので、テスターの値は表示されません。
もし、大きく値が異なる場合は、半田不良やブリッジを疑ってください。
<カメSPA基板の半田付け>
カメSPA裏面の半田ジャンパが写真のように、下側ショートになっていることを確認します。
フレキをカメSPA基板の端子の上に乗せ、直接半田付けします。
仮止め用に3箇所、フレキの端子の穴を半田で埋めておきます。
このとき半田を多くしすぎないように注意します。
フレキをカメSPAにかぶせて、仮止め箇所にこてを当てて止めます。
フレキの穴と、カメSPAの穴がピッタリ合うように注意してください。
残りの箇所も半田付けします。
あまり半田を盛り過ぎないように注意します。
フレキが浮かないように、上から押さえつけながら、右下から左上の端子に向かって、半田付けします。
フレキのレジスト(半田が乗らないように保護する部分)にずれがある固体もあるので、
端子の半田が、端子の横を通っている信号にブリッジしないように注意します。
ブリッジする様であれば、フラックスを塗って、こてを当てることでブリッジを解消します。
ブリッジしていないことをルーペ(拡大鏡)などで、確認してください。
(ブリッジすると、ゲーム本体の画面が乱れたり、ビューアソフトの画面にノイズが乗ったりします)
半田を流しすぎると、裏面に溢れてブリッジする可能性がありますので、チェックしておきます。
3本目のUEW線(2cm)を使用して、1.8VをカメSPA基板上でジャンパさせます。
ジャンパはカメSPA端子の2aと1dです。(写真赤丸)
<基板の戻し>
3DS基板を筐体に戻します。
ゲーム機の分解時に外した全てのフレキシブルケーブル、パーツ類、3DS基板を固定するネジを元通りに取り付けます。
ゲーム機のVOLUMEスイッチやWIRLESSスイッチなどが、きちんと部品の溝にはまって、正常にスライドすることも確認しておきます。
スライドパッドを取り付ける前に、SDカードの取り付けを行います。
(SDカードのコネクタ取り付け位置を、カメSPAのフレキとスライドパッドが覆ってしまうため)
スライドパットのフレキは、カメSPAフレキ中央の穴を通して、コネクタに接続します。
(強く折り曲げると、フレキシブルケーブルの信号が断線しますので、要注意です。)
(スライドパットのフレキを切断してしまった場合は、オプティマイズから新しいスライドパット(ロングフレキ版)が\600で購入可能です。)
<動作確認>
筐体の裏カバーを閉じる前に動作確認を行うと、問題があったときに、再度3DSを分解せずに済みます。
(注意:ショートが心配な方は、裏カバーを先に閉じてください)
カメSPA基板の裏面が、ゲームカートリッジコネクタなどと接触して、ショートしないように絶縁処理をしておきます。
絶縁テープが無い場合は、ビニールテープやセロテープで代用します。
3DSのバッテリは、バッテリー端子に押し付けた状態でセロテープなどで固定します。
カメSPA基板もセロテープなどで仮止めします。
この状態でショートに注意しながら3DSを起動します。
ゲーム機の正常動作を確認後、PCとUSBケーブルで接続して、ビューアソフトを起動します。
(ビューアソフトはNON-STANDARDのHPからダウンロードします)
キャプチャ画像が表示されなかったり、安定しない場合はビューアの「設定 -> キャリブレーション」を調整します。
カメSPAのデバイスドライバは、ビューアソフト同梱のものでも、オプティマイズのページにあるものでも構いません。
<3DSの裏カバーを閉じる>
穴あけ加工を行った裏カバーにカメSPAを通すには、写真のようにフレキを折り曲げます。
この状態で、穴にカメSPAを通します。
通したら、L-Rボタンのフレキをピンセットを使って接続して、筐体のネジを締めれば完成です。
<バッテリーカバー>
3DS標準バッテリーカバーのネジ4本のうち、外側の2本だけを締めて、無理やり組み込みます。
ゲームスロットに若干力が加わるのが気になりますが、今のところ問題なく使えてます。
市販のグリップアタッチメントや増設バッテリーカバーを改造する方法もあります。
オプティマイズの通販で専用のカバー(黒)を購入(\3000)することも可能です。
<トラブル事例と対策>
症状 | 原因と対策 |
ゲーム機の電源スイッチを入れても、起動しない | WiFiモジュールの接続ミス、 配線した電源がショートしているなどが考えられます。 |
ゲーム機の表示は正常だが、 ビューアの下画面にノイズが出たり、表示されない。 |
下画面データの取り込みタイミングを、ビューアアプリの設定 -> キャリブレーションで調整する。 |
ゲーム機の画面、ビューアの画面の両方がノイズや 色調がおかしい。 |
カメSPAとフレキの半田ブリッジの可能性があります。 ルーペなどでブリッジしていないか確認して、フラックスを塗り半田ごてを当て、解消します。 |
ゲーム機の画面は正常だが、ビューア画面の色調がおかしい。 | カメSPAとフレキの半田不良(未接触)や、ゲーム機本体側とフレキの半田漏れや、 半田不良の可能性があります。 |
ゲーム機のネジを強めに締めると、ゲーム機の画面が乱れたり、 色調がおかしくなる。 |
ゲーム機本体側のフレキの半田箇所に尖っている部分があり、それが液晶パネルのシャーシとショートしていることが考えられます。 |