フレキシブルケーブル取り付け手順

この手順は完成品「カメレオンUSB SPA3」(以下カメSPA)を使用してフレキシブルケーブル(以下フレキ)を取り付ける手順です。

フレキの中央に3mm位の穴の開いているタイプの取り付け手順はこちらにあります。

キットのカメSPAの場合はオプティマイズのHPを参照して、カメSPAの組み立てを済ませてください。

半田付けの難易度はそれほど高くはありませんが、ゲーム機の分解、ケースの加工などそれなりに難しいです。
電子工作が初めての方は、経験者にアドバイスを受けながら作業してください。

<注意事項>

<フレキセットに含まれるもの>

<必要な道具>


<フレキのカット>

キットに付属するフレキはそのままでは使用できません。白い線に沿って、ハサミで丁寧に切ります。フレキは切り込みなどがあると、その部分から破断しますので、なるべく滑らかになるように切ります。白い線を多少はみ出しても、信号線の部分が切れなければ大丈夫です。
(フレキに印字されている文字(シルク)は、上下反転している場合もありますが、不良ではありません。)


<ゲーム機の分解>

フレキを取り付けるにはゲーム機を分解して、メイン基板を取り出す必要があります。最近のゲーム機は部品も細かく、フレキやフレキコネクタなど、扱いを誤ると破損してしまうことも多々あります。分解方法はネットを検索するなどして、十分な情報を得てから開始してください。
Over-Clockerd Mods様のサイトには非常に丁寧に紹介されていますので、参考になると思います。
(SDカードスロットを外す方法は、シールドとSDカードスロットの間に大き目のマイナスドライバをいれて、粘着テープを剥がす方法が良いかもしれません)


<ショートフレキ スライドパットの対応> 2012/11/24追加

2012/11/24現在で写真右のようなフレキシブルケーブルの短い固体が確認されています。フレキの接合部分に4個のハトメがあるのが特徴です。
手元の3DSがショートフレキスライドパットの場合は下記の作業が必要になります。
(写真左のスライドパットの場合は、この手順は不要です。)


ショートフレキの場合は、カメSPA3のフレキを迂回して取り付けることが出来ないため、ここで説明する対応が必要になります。
古い3DSや古い拡張スライドパットなどには、従来の長いフレキのスライドパットが使用されていますので、長いフレキのスライドパットが入手できればそちらを使用するほうが作業が簡単になります。

カメSPA3用のフレキを取り付ける前に、スライドパット用の配線をゲーム基板に行います。24cmのUEW線を4等分して、先端を半田半田処理しておきます。(手順はこのページ下部のサウンド配線を参照)(カメSPA3のフレキを取り付けた後でも、写真のようにめくり上げて半田付けすることも出来ます。)


TP68(左)とTP69(右)に配線します。位置はスライドパットコネクタの裏面辺りになります。

TP68とTP69の配線が区別出来なくなると困りますので、マジックペンなどで印をつけておいてください。
とりあえずここまで作業をして、<ゲーム基板にフレキを取り付ける>の項目の作業に移ります。


基板表面のゲームカートリッジコネクタの下コンデンサの足から、GNDと+1.8Vを配線します。

以上の4本の配線をスライドパットのハトメに配線します。フレキの先端は放置しておくと、ショートの危険性がありますので、写真のようにテープで絶縁しておきます。
(2012/12/1追記:ハトメ部分に信号が来ていないスラパがあるようです。その場合は、フレキ先端の金メッキされた部分に半田付けします。)


<ゲーム基板にフレキを取り付ける>


フレキを基板にTPの位置に合わせます。作業中にずれると困るので、写真の丸の位置をセロテープで止めます。
セロテープをはがすときは、必ずフレキ側からはがします。基板側からはがすと、フレキを破る危険性があります。


写真上部の丸も、セロテープで固定しています。
半田付けは、フレキの端のTPから開始しして、反対の端に向かって進めていきます。
(フレキのたわみを少なくするため)

半田の量は少量でかまいません。

フレキが浮き上がらないよう、メイン基板に押し付けながら半田付けします。
(浮き上がって、半田がフレキの下側に回りこむと、他のTPとのブリッジ(ショート)の原因になります。)


半田もれの無いように注意してください。
写真の丸の部分は、使用しませんので、そのままです。

全て半田付けが終わったら、指で半田付けした箇所をなぞって、尖っている箇所などが無いことを確認します。
もし半田が尖っている箇所にはフラックスを塗って、こてを当て丸くなるようにします。
(尖った箇所が液晶パネルの保護膜を破って、シャーシとショートする場合があります)


半田不良、ブリッジ、漏れがないことを確認するためにテスターを使用します。
テスターを抵抗値を測るモードにして、右側の丸(GND)と、左側の各信号の間の抵抗値を測定します。


テスターや基板の個体差などによって、10−20%程度前後しますが、写真のような値になればOKです。
(差動信号が0.6MΩ、それ以外が5MΩ。二つのグループに分かれる。)
∞は未接続の端子ですので、テスターの値は表示されません。
もし、大きく値が異なる場合は、半田不良やブリッジを疑ってください。


<サウンド用配線(オプション)>

確約は出来ませんが、サウンド用の配線を行っておくと、将来のビューアのバージョンで音声の取り込みが可能になります。音声が不要な場合や、作業の難易度を下げたい場合は、配線は不要です。


サウンドの配線には3本のUEW線を使用します。UEW線は銅線の表面に絶縁用の皮膜を形成した線で、細く取り回しが楽なのが特徴です。
皮膜は300度程度の温度で溶け、半田付け可能になります。
3本の線の両端を、写真の様に、こて先に盛った半田で溶かします。溶けると、線に半田が乗ります。
(温度調節機能付の半田ごてを使用の場合は、温度を400度以上に設定します)


UEW線の先端に半田が乗っています。

線は3本とも同じですので、最後にカメSPAに配線する際に、どのTPから引き出した信号か識別する必要があります。
マジックペンを使用して、「マーカー無し」「マーカー1本」「マーカー2本」を書き込んでおきます。


半田付けの箇所は写真の通りです。
マーカーを付けた反対側を半田付けします。


写真のような感じになります。下画面液晶が上に載りますので、なるべく低く、出っ張らないようにします。
線が細いので、取り回しの際に、半田が取れたり、切断しないように、フレキにセロテープで固定しておきます。
(セロテープは最後まではがしません)


<基板の戻し>

基板を筐体に戻します。

フレキとサウンド配線は写真のように引き出します。
(軽くフレキを引っ張りながら、筐体に基板を組み込みます。無理に基板を押し込むとフレキが破断するので要注意。)

ゲーム機の分解時に外した全てのフレキシブルケーブル、パーツ類を元通りに取り付けます。
(取り付け忘れは命取りになりますので要注意)

ゲーム機のVOLUMEスイッチやWIRLESSスイッチなどが、きちんと部品の溝にはまって、正常にスライドすることも確認しておきます。

スライドパッドを取り付ける前に、SDカードの取り付けを行います。
(SDカードのコネクタ取り付け位置を、カメSPAのフレキとスライドパッドが覆ってしまうため)


スライドパッドのフレキシブルケーブルと干渉しますので、上手に逃がすようにします。
(強く折り曲げると、フレキシブルケーブルの信号が断線しますので、要注意です。)
(ショートフレキスライドパットの場合は<ショートフレキ スライドパットの対応>を参照してください。)

最後に基板を固定するためのネジも締めます。


<電源ケーブルの配線>

GNDと+1.8Vをゲーム機本体から配線します。+1.8Vは信号のプルアップやリファレンス電圧としてだけで使用しますので、カメSPAを組み込むことで本体の消費電力はあまり増えません。


SDコネクタ横のコンデンサに直接半田付けします。
短いほうがGNDで、長いほうが1.8Vになります。
(間違えるとカメSPAが壊れることになりますので、要注意です)
先にコンデンサに半田を盛って、その後、線を半田付けします。


電源の配線はSDコネクタの横を通るようにします。

フレキにサウンドの配線と一緒にセロテープで仮止めして置くと、後の作業がやりやすいです。


<筐体の穴あけ>

ゲーム機の筐体内部にカメSPAを格納出来るスペースはありません。
そのため、筐体に穴を開け、フレキ類を筐体外部に引き出します。

今回紹介する方法(ケイティ氏のアドバイス)は、カメSPA本体を筐体に通すことが出来るので、後から半田不良の修正や、ゲーム機の部品取り付け漏れを直す(かなり大変なのでお勧めは出来ません)ことも可能です。

フレキだけが通る、小さい穴で済ませる方法もあります。この場合は、一度組むと、本体を分解するには、カメSPA基板から半田付けしたフレキをはがす必要があります。(工業用ドライヤーを使用すれば可能です)

ユーザ各自でどちらが良いか十分検討して、独自の方法を編み出してください。


タッチペンを収納するケースは邪魔ですので取り外します。
画面中央のネジ止めは、こちらの手違いで、元々ネジ止めされていません。


USBコネクタ込みでカメSPAが通る厚み(約7mm)にします。
幅はカメSPAの幅(27mm)以上が必要です。


卓上ドリルを使用して、7mmの穴を開けてつなげます。
最後はカッターで整えれば完了です。


空けた穴から、「フレキ+サウンド+電源」を引き出します。
そして、タッチペンケースを元の位置に戻し、フレキを通したままタッチペンケースをネジ止めします。

ゲーム機の残りのネジを止める前に、カメSPA基板と「フレキ+サウンド+電源」が長さ的に接続可能か確認しておきます。
届かない場合は、筐体内部に引っかかっている可能性があります。

この時点で、一度バッテリーを戻し、ゲーム機の動作確認を行っておきます。
その際、配線(電源、サウンド)が接触(ショート)するとゲーム機が壊れますので、配線の先端部分は、セロテープなどで、覆うなどします。動作確認が終了したら必ずバッテリーは外します。

ゲーム機のL/Rボタンのフレキも忘れずに取り付けておきます。

上手に配線を取り回せば、力をかけなくてもゲーム機の蓋は閉じることができます。
もし、うまく閉じない場合は配線が噛んでいないかを確認します。


<カメSPA 半田ジャンパの設定>

今回カメSPAのFPGAのI/Oは外部電源(1.8V)で使用します。そのための半田ジャンパの設定です。


写真の向きで、下側に半田を盛ります。
(上側とショートしていないか、確認してください)


<カメSPA基板の半田付け>

フレキをカメSPA基板の端子の上に乗せ、直接半田付けします。
(注意:ゲーム機のバッテリーは必ず抜いて作業すること)


事前に、フレキの端子の箇所の穴を半田で埋めておきます。
注意点としては、穴と基板の面が水平になることを心がけ、半田を多くしすぎないでください。
うまく水平にならない場合は、フラックスを塗って、こてを当ててください。


裏面です。
半田を流しすぎると、裏面に溢れてブリッジする可能性がありますので、チェックしておきます。


フレキを当てて、位置を合わせます。
ずれないように注意して、フレキの上からこてを当てて、丸印の三箇所を止めます。
(新たに半田を追加しなくても、穴埋めに使った半田を溶かして、付けます)

仮止めしたら、順次端子を半田付けしていきます。
フレキが浮かないように、上から押さえつけながら、右下から左上の端子に向かって、半田付けします。

フレキのレジスト(半田が乗らないように保護する部分)にずれがある固体もあるので、
端子の半田が、端子の横を通っている信号にブリッジしないように注意します。
ブリッジする様であれば、フラックスを塗って、こてを当てることでブリッジを解消します。
ブリッジしていないことをルーペ(拡大鏡)などで、確認してください。
(ブリッジすると、ゲーム本体の画面が乱れたり、ビューアソフトの画面にノイズが乗ったりします)


最後に電源 2本、サウンド 3本を直接半田付けします。
電源は長さ、サウンドはマークの有無で端子の場所を判別します。

GND(短い方)の半田付けは、かなりの熱量を必要としますので、温調半田ごての温度を上げて、
十分熱した状態で半田付けします。

最後に、念のため2本の電源(GNDと+1.8V)がショートしていないか、テスターでチェックしておきます。
(筐体を閉じるときに、電源線がシールドに挟まってショートすることが稀にあります)


<動作確認>

バッテリーを入れて、正常にゲーム機が動作するか確認します。

ゲーム機の正常動作を確認後、PCとUSBケーブルで接続して、ビューアソフトを起動します。
(ビューアソフトはNON-STANDARDのHPからダウンロードします)

カメSPAのデバイスドライバは、ビューアソフト同梱のものでも、オプティマイズのページにあるものでも構いません。

現時点のビューアソフトではサウンドの取り込みに対応していません。
サウンド機能の確認には、添付のi2s_sound_test.zipを解凍して得られる、「i2s_sound_test.exe」を使用します。
カメSPAをPCに接続した状態で、コマンドプロンプトから「i2s_sound_test.exe」を起動すると、PCのスピーカーからゲーム機の音声が流れます。


万が一動作しない場合は、写真の様な形にすることで、カメSPAを筐体から外すことが出来ます。
(フレキは強く引っ張ったり、折り曲げないように注意します)


<筐体への組み込み例>

お金をかけずに、筐体に組み込む例を紹介します。


バッテリーカバーのネジ4本のうち、外側の2本だけを締めて、無理やり組み込みます。ゲームスロットに若干力が加わるのが気になりますが、今のところ問題なく使えてます。

これ以外の方法としては、市販のグリップアタッチメントを使用する方法なども考えられます。各自工夫してみてください。


<トラブル事例と対策>

症状 原因と対策
ゲーム機の電源スイッチを入れても、起動しない WiFiモジュールの接続ミス、
配線した電源がショートしているなどが考えられます。
ゲーム機の表示は正常だが、
ビューアの下画面にノイズが出たり、表示されない。
下画面データの取り込みタイミングを、ビューアアプリの設定 -> キャリブレーションで調整する。
ゲーム機の画面、ビューアの画面の両方がノイズや
色調がおかしい。
カメSPAとフレキの半田ブリッジの可能性があります。
ルーペなどでブリッジしていないか確認して、フラックスを塗り半田ごてを当て、解消します。
ゲーム機の画面は正常だが、ビューア画面の色調がおかしい。 カメSPAとフレキの半田不良(未接触)や、ゲーム機本体側とフレキの半田漏れや、
半田不良の可能性があります。
ゲーム機のネジを強めに締めると、ゲーム機の画面が乱れたり、
色調がおかしくなる。
ゲーム機本体側のフレキの半田箇所に尖っている部分があり、それが液晶パネルのシャーシとショートしていることが考えられます。
ビューアの画面は正常だが、ゲーム機本体の画面が乱れる。 液晶パネルのマージンが低く、カメSPAを取り付けたことにより、
正常に信号が認識できなくなっている可能性があります。

極めて稀なケースで、個別に対応が必要と思われます。

PCと未接続状態で、ゲーム機本体の上画面が乱れる(同期信号がずれる)ケースが現在確認されています。
このケースでは、カメSPA側の#4b、#4c、#4d、#4eにそれぞれ、2.2Kオームで+1.8V(#1d)にプルアップすることで解消しました。